海からの贈物 /アン・モロウ・リンドバーグ著 吉田健一訳
名前だけは聞いたことのあるリンドバーグ夫人。ニューヨークで夫と5人の子供と生活していたが、ある時ひとり離島で過ごす機会を得て、その時の随想をまとめたもののようです。
発行から40年近く経っているのに、古くささを感じない普遍的な内容と、詩的な美しさを持つ文章に惹かれました。
電車の中で一気に読んでしまったけど、また余裕のある時に何度も読み返したくなるような本ですね。
女性の心や生き方について「つめた貝」「日の出貝」など島の浜辺で出会った貝と照らし合わせ、驚くほど的確な表現をされています。
その中で、結婚生活をでこぼこした「牡蠣」に例えているのには思わず苦笑。なぜならわたしは牡蠣アレルギーで、それも結婚してからそういう体質になってしまったので・・・。
でも不自由の中での自由や孤独の大切さなど、何となく感じていても言葉にできなかったようなことが書かれてて、読んで気持ちが軽くなったようです。老若男女問わず、誰でも最低ひとつくらいは、自分にぴったりの素敵な貝が見つかるのでは?
波打ち際で拾ったきれいな貝殻を手渡すように、この本を母にもプレゼントしようかと計画中です。